new 2019.10.07 |58view

アパレル事業者にできる消費増税対策とは?過去の消費者の動向から解説

2019年10月から、いよいよ消費税の引き上げが行われ、8%から10%への増税が実行されます。
消費行動に影響が出る事は間違いないでしょう。
アパレル業界でも消費者の行動を予測した対応が必要となります。
ここでは、以前に行われた消費税増税の時の消費者の動向を検証するとともに、有効と思われる対策について紹介します。
増税に向けた対策を考える参考としてみてください。

過去の消費増税前の消費者の動向

政府による消費税の増税は過去に2度行われています。
1997年4月には3%だった消費税が5%になり、2014年4月には5%から8%へと段階的に引き上げられてきました。
その時の消費者動向はどのようなものだったのでしょうか。
株式会社インテージによる2014年12月発行の「消費税増税 影響分析プロジェクト」のレポートに、この時の消費者の購買の傾向がまとめられています。

食料品やトイレットペーパーなどの雑貨、化粧品といった生活必需品の分野では、1997年4月の増税直前の週には前年と比較して16.9%増加していました。
2度目の増税時の2014年4月の場合、直前週と比べて42.8%の増加となっており、1度目の増税の時よりも駆け込み需要が増えていたようです。
一度目の増税時に学び、日持ちするものは少しでも安く買っておこうという消費者心理が働いたのでしょう。
2014年の増税時は、生活必需品の中でもせっけんや漂白剤といった長期保存が可能なものが特によく売れており、日用雑貨品の購買が大きく伸びたことが特徴でした。
1997年3月と2014年3月にまとめ買いをした人の割合はそれぞれ24.9%、29.7%となっています。

アパレル業界においても駆け込み需要は発生しており、2013年の秋には高額のコートがよく売れるなどの傾向があったようです。
高額なものほど消費税も高くなりますし、同じものを買うなら少しでも安いうちにと思う人は多いでしょう。

過去の消費増税後の消費者の動向

2014年4月の増税後の消費者の動向には、どういった変化があったのでしょうか。
株式会社インテージの2014年12月発行の「消費税増税 影響分析プロジェクト」によると、2014年の増税直後は、消費者全体として購買金額が大幅に下がり、生活必需品の分野においても前年比を下回る結果になりました。
増税前のまとめ買いの影響から、買い控えにつながったのでしょう。
5月末までは回復の傾向を見せましたが、徐々に停滞し、結果として長く購買額が前年比を下回る状態が続いてしまったようです。

年齢層の高い消費者ほど増税前にまとめ買いをする傾向があり、増税後も消費が回復するのが早かったという結果が出ました。
これは年代の低い層になるほど消費回復傾向が鈍いという事をあらわします。
回復の緩やかな若い世代がターゲットの市場においては、増税後にどのような消費回復のための策を実施するかが需要になると言えるでしょう。

増税から半年後の2014年11月に行われた調査では、「去年と比べて生活のゆとりがなくなった」と答える人の割合が全体の56%に及びました。
二人に一人が増税による負担を感じたという結果です。
3度目の増税である2019年10月にも同じような消費者心理が働き、消費活動に影響を与えることが予想されます。

過去の消費増税時に各小売店が実施した対策

2014年の増税時にも各小売店にて様々な試みがなされました。
株式会社インテージの2014年12月発行の「消費税増税 影響分析プロジェクト」によると、2014年の増税直前に発行されたチラシには、「税」や「まとめ」という言葉を使ったものが89%あったということでした。
増税を前にして、少しでも安く買えるということをアピールし、消費者の購買意欲を強くかき立てるものが多かったようです。
増税後のチラシには「価格据え置き」や「価格引き下げ」などの言葉がよく見られるようになります。
税額が変わっても消費者の実質支払い額が変わらない事を伝え、消費者の負担を軽減するような工夫がとられました。

消費者の目に訴える方法として、価格表示方式にも変化が見られました。
増税前は税込価格のみの表示が56%だったのに対し、増税後は2%まで減少しています。
その一方で、税抜価格と税込価格の併記方式が28%から76%にまで増加しました。
税抜価格が表示してあると、消費者は消費税による値上がり感を感じにくくなります。
消費者に割高感を感じさせない効果を狙った施策です。

アパレル事業者にできる消費増税対策

アパレル業界でも増税前後で取るべき施策があります。
まず、今から必要になるであろう秋物や冬物のアイテムを、増税前に前倒しで店頭販売することです。
例年9月は残暑の影響で秋物の売れ行きが伸び悩む時期となっていますが、増税を控えていることで消費者に税額が低いうちに購入できる事をアピールできれば、駆け込み需要が増えるでしょう。
また、増税後は消費者動向が鈍り、客足が落ち込むことが予想されるので、販促費を使うならば増税前ではなく増税後にとっておいた方がよいでしょう。
増税後にキャンペーンなどを実施して集客効果を高め、消費活動につなげる事が大切です。
個性的な商品を用意して商品価値を高め、消費者に値ごろ感を演出するのも効果的です。

今回の増税は前回よりも増税率が低いため、それほど大きな影響はないのではないかという考え方もあります。
今回は政府によるポイント還元制度などの新しい試みも行われます。
これはキャッシュレス決済を行った場合最大5%のポイントが還元されるというもので、場合によっては増税前よりもお得になる可能性もあるなど、それがどう消費に影響してくるのかはまだ読めません。
増税後も消費者の動向を注意深く見ながら、必要な対策をとっていく必要があるでしょう。

アパレル事業者は消費者の動向をみながら増税対策を講じよう

特にアパレル業界においては、若者層の消費回復傾向の鈍さに焦点を置いた施策が求められるでしょう。
政府による施策も含め、今回の増税にはまだ読めない部分も多いため、消費者の動向を見ながら適切な増税対策を行っていくことが必要です。

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